歯ぎしり・食いしばりの原因とは?自覚症状や治し方・対策を紹介
公開日:2024.05.20
更新日:2024.05.20
日々の生活の中で、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりをしている人は少なくありません。これらの行為は一見すると無害に思えますが、睡眠の質を低下させます。また、長期間にわたって食いしばりや歯ぎしりが続くと歯や顎関節への悪影響を及ぼします。
歯ぎしりとは、上下の歯を強くこすり合わせる行為で、主に睡眠中に無意識に行われます。歯ぎしりが継続すると、歯の摩耗や割れ、歯周病、顎関節症などの問題を引き起こします。
一方、食いしばりは日中でも起きていることがあります。特にストレスを感じる状況下で無意識に行われることが多いです。歯を強く噛みしめることで、顎関節や噛む筋肉に負荷をかけ、つらい肩こりや首こりの原因になったり、顎関節症や歯の損傷を引き起こします。また、食いしばりや歯ぎしりは、歯周病も悪化させます。
朝起きた時に首の後ろがこっていると感じる、マッサージに行っても翌日には元のつらい状態になると感じる方は、歯ぎしりや食いしばりを疑った方が良いかもしれません。
歯ぎしり・食いしばりの自覚症状
・朝起きると顎や疲れている、あるいは痛みを感じる
・首の後ろが凝っている(特に起床時)
・頭痛、特にこめかみ周辺の頭痛
・知覚過敏の歯がある(特に冷たい飲み物や食べ物を摂取したとき)
・歯が削れてしまっている、または割れてしまっている
・家族やパートナーがあなたが睡眠中に歯ぎしりしている音を聞いたことがある
・下あごの骨の内側や上あごの真ん中あたりに固い膨れがある
歯ぎしりや食いしばりは病気ではないように思えるかもしれませんが、これらの行動は長期的に見て歯のエナメル質がすり減り、歯を弱くするだけでなく、ひび割れや歯周病を悪化させる原因となります。
またこれらの症状は歯の寿命を短くするだけでなく、睡眠の質も低下させるので、日常生活におけるストレスへの抵抗を低下させる原因にもなります。このような問題を適切に解決するためには、歯ぎしりと食いしばりの原因を理解し、効果的な対策を取ることが重要です。この記事では、これらの問題に対する原因と対策を詳しく説明します。
歯ぎしりの原因と対策
歯ぎしりは、主に睡眠中に上下の歯を強くこすり合わせる行為を指します。これは無意識に行われ、自分で行っていることに気づかないことが多いです。長期間にわたり継続すると、歯の摩耗、歯の欠けや割れ、歯周病、顎関節症、頭痛や耳鳴りなどの問題を引き起こす可能性があります。
歯ぎしり(ブラキシズム)は睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズムに分類されます。
睡眠時ブラキシズム
睡眠時ブラキシズムは、文字通り睡眠中に発生する歯ぎしりや歯を強く噛みしめる行為を指します。これはREM睡眠の間、または深い睡眠の間によく起こります。睡眠時ブラキシズムは、個人自身が自覚していることが少なく、しばしば家族やパートナー、または歯科医によって初めて指摘されることが多いです。睡眠中に歯を強くこすり合わせると、歯の摩耗、顎関節痛、頭痛などを引き起こす可能性があります。また、食いしばりの強い力によって、睡眠が浅くなります。
覚醒時ブラキシズム
覚醒時ブラキシズムは日中に起こります。これはしばしばストレス、不安、集中、あるいは激しい感情に関連しています。覚醒時ブラキシズムは一般的に歯を強く噛みしめる行為(歯を食いしばる)が主で、これが続くと顎関節に負荷をかけ、顎関節症や咀嚼筋(噛むときに使う筋肉)の痛みを引き起こす可能性があります。また、先に述べたように歯周病の悪化や歯の摩耗、歯のひび割れや欠けが起きてきます。
歯ぎしりは子供や女性に多い?それぞれの原因とは
歯ぎしりの原因は複数あります。それはストレス、不安、集中力の高まり、睡眠障害、歯並びの問題、そして一部の医薬品やアルコール、夜間低血糖などの影響によるものです。
子供における歯ぎしりの原因はさまざまで、歯並びの問題、ストレスや不安などがあります。また、乳歯から永久歯への移行期に歯ぎしりを始める子供もいます。
女性、特に女子と大人女性の場合、ホルモンの変動や高いストレスレベルが歯ぎしりの一因となることがあります。また、女性は男性に比べてより高い頻度で睡眠障害を経験し、それが歯ぎしりを引き起こす可能性もあります。
また、寝る前に血糖値を急激に上昇させるような食事をとると、インスリンの働きが顕著になり睡眠中に低血糖が起こります。睡眠時でも低血糖が起きると、低血糖を回復させるためにストレスを感じた時に優位になるのと同じ交感神経が活発となり歯ぎしりだけでなく、悪夢や寝汗をかくようになり、睡眠の質が低下します。
余談ですが、近頃はやっている睡眠に良いといわれる乳酸飲料ですが、かなりの糖質が含まれているので、血糖値スパイクにより眠気が訪れているのではないかと心配しています。
そちらを飲用しても、悪夢や食いしばり、寝汗などの症状が出ていないのであれば、私の杞憂かもしれませんが・・・。
歯ぎしりの治し方
歯ぎしりは自己ケアで改善することも可能です。まずは、夕食はなるべく睡眠3時間前に終わるようにし、血糖値が上がりにくいメニューを良く噛んで(野菜→タンパク質→炭水化物の順番で召し上がっていただくのが理想です)召し上がってください。
そもそものストレスを軽減するためのマインドフルネスやヨガなどを行っていただく、そしてアルコール(飲酒後に低血糖が起きてしまいます)や睡眠6時間前からはカフェインの摂取を控えるなどが挙げられます。
歯ぎしりが重症化している場合や自己ケアで改善が見られない場合は、歯科医に相談することをお勧めします。
歯科医はマウスガードの作成や必要に応じてボトックス治療などを行います。
また、歯並びやかみ合わせの不調和が歯ぎしりの原因となることもあるので、その際はより踏み込んだ歯科治療が必要となりますので、歯ぎしりを指摘された場合は一度は歯科医師に相談されることをお勧めいたします。
食いしばりの原因と対策
食いしばりは、上下の歯を強く噛みしめる行為を指します。睡眠時だけでなく日中、特にストレスを感じる状況下でもみられます。これが継続すると、顎関節への過度な負荷により、顎関節症や歯の損傷を引き起こす可能性があります。また、筋肉がこわばりやすく睡眠が浅くなる傾向にあるので、起床時もすっきり起きられない、朝起きた時に首の後ろの筋肉の張りが気になることが多いです。
食いしばりの自覚症状としては、就寝中に食いしばりが強く起きすぎて目が覚める方もいらっしゃいます。また、朝起きた時に首の後ろの張りや、あごのだるさ、朝食の時に固いものを噛むと痛い、冷たいもの(かみ合わせの不調和もあると熱いものがしみることもあります)がしみやすいこともあります。
普段から口を閉じた時に上下の歯が触れている方は、日常においても歯の周りの組織の負担が大きくなっています。日中に数回、特にリラックスしているときや深呼吸をしているときに唇を閉じてはいるけれど上下の歯があたっていない状態を意識して作るようにすることをおすすめします。
普段のかみ合わせは、唇を軽く閉じて、上下の歯が当たらないのが理想の状態です。上下の歯が軽く触れているだけでの状態が続くだけでも歯や歯の周りの組織はダメージを受けます。
また、唇を閉じて上下の歯が当たらないあごのポジションが顎関節にも負担をかけない位置になります。
上下の歯が常に触れ合っていると、それは顎関節と歯や歯周組織に不必要な圧力を加えることを意味します。これは長期的に見ると、歯の摩耗、顎関節痛、顎の筋肉の緊張や疲労などを引き起こす原因となります。それらはさらに、頭痛や耳鳴り、顔面痛などの症状を引き起こす可能性があります。
リラックスした状態では上下の歯が離れていることが、口腔の健康にとって不可欠です。
歯が常に触れ合っている場合、それは無意識のうちに歯を食いしばっている可能性や、歯を支える組織に過大な負担をかける原因になってしまいます。
食いしばりは自分で気づくのが難しい行為であるため、日常生活で頻繁に起こる頭痛や顎の痛み、耳鳴りなどは食いしばりが原因かもしれません。また、定期的な歯科検診で歯科医に歯の摩耗をチェックしてもらうことも、食いしばりの診断に役立ちます。
食いしばりの原因
食いしばりの主な原因はストレスや不安です。しかし、睡眠障害、アルコールやカフェインの過剰摂取、そして特定の薬物も食いしばりを引き起こす可能性があります。
ストレスは食いしばりの最も一般的な原因の一つです。ストレスが高まると、無意識に顎を固く閉じて歯を噛みしめることがあります。これは特に集中して作業をしているときや交通渋滞などのストレスを感じる状況で起こりやすいです。
一部の人々は寝るときに食いしばりをします。これは睡眠障害、特に睡眠時無呼吸症候群と関連していることがあります。
食いしばりを治す方法
日常で簡単に行える自己ケアはトレーニングとマッサージが有効です。
顎関節をリラックスさせる簡単なエクササイズやストレッチ、顎周囲の筋肉を柔らかくするマッサージは、食いしばりを軽減する有効な自己ケア方法です。これらのテクニックは日々の生活の中で簡単に実行でき、特にストレスの多い時期や状況で有効です。
食いしばりが重度で自己ケアでは改善が見られない場合、ボトックス注射を考慮することも可能です。ボトックスは一時的に筋肉の動きを弱めることで、顎の筋肉の過度な力を和らげ、食いしばりによる顎関節や歯の損傷を防ぎます。
歯ぎしりや食いしばりは噛み合わせが原因の場合も
歯ぎしりや食いしばりは、さまざまな要素が関与している行動ですが、その中には「不正な噛み合わせ」も含まれます。
不正な噛み合わせは、上下の歯が適切に一致しない状態を指します。これにより、歯や顎に余計なストレスがかかり、歯ぎしりや食いしばりが引き起こされることがあります。
したがって、不正な噛み合わせを正すことで、歯ぎしりや食いしばりを軽減できる可能性があります。治療方法としては、矯正歯科治療が一般的です。
ブレースやインビザラインなどの装置を使用して、歯の位置を調整し、噛み合わせを改善します。ただし、治療は個々の状況により異なるため、具体的な治療計画については歯科医と相談することが必要です。
ただし、全ての歯ぎしりや食いしばりが不正な噛み合わせによるものではないことに注意が必要です。ストレスや睡眠障害、あるいは特定の生活習慣や飲食習慣も、これらの行動を引き起こす可能性があります。そのため、噛み合わせを修正するだけでなく、全体的な生活習慣の見直しも重要となります。
自覚症状がある場合には、適切なアドバイスと治療を受けるために歯科医に相談することが重要です。早期に対策を講じることで、長期的な口腔の健康を保つことができます。