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根管治療を受けるときに知っておきたい治療の流れ

公開日:2016.12.07
更新日:2023.02.13

歯科医院で行われる治療法の一つに、「根管治療」というものがあります。

普通の歯科治療とどう違うのでしょうか。根管というと、歯の根にかかわる何やらむずかしそうな治療に思えますが、実際のところはどうなのでしょうか。

もし、根管治療を今から受けるという方は、あらかじめどのような治療法なのかを知っておきたいところです。

今回は、根管治療の基本と、治療の流れを解説します。

根管治療とは

根管治療とは、文字通り、歯の根の神経の管を治療する方法です。

ではなぜこの歯の根の神経の管を治療する必要があるのでしょうか。実は、歯の根の神経の管には、「歯髄(しずい)」という神経が通っています。

しかし、虫歯や歯周病などで歯髄が細菌感染を起こし、炎症などを起こすなどしてむしばまれることがあります。

こうなると、他の組織に感染してしまう恐れがあるので、早急に除去する選択が取られます。この「歯髄」を除去することを「抜髄(ばつずい)」と呼びますが、抜髄を行った後、その歯髄が入っていた管を綺麗に掃除して、消毒をして薬を満たすことを、無菌的な状態を作ることを根管治療といいます。

従来は、歯髄が侵されると、もはや歯を根こそぎ歯そのものを抜いてしまおうという考え方が主流でした。しかし今では、この根管治療を行うことで、「歯をできるだけ残そう」という考え方が浸透しています。

根管とは

ここで、根管についてもう少し詳しく知っておきましょう。よく歯のイラストや模型でも表されるように、歯の根っこは、複雑に分かれている形状をしています。その複雑に分かれている根っこの内部は、細く管のようになっています。

この管の部分は、外側が「セメント質」、内側が「象牙質(ぞうげしつ)」でできており、その内部に細い管「根管」、そして根管の中に歯髄があります。

歯根に薬を入れた後は土台を立てクラウンをかぶせる

根管治療では、歯髄を抜き、根管を清掃・消毒してから薬を充填させます。いったんはここで治療は終了しますが、このままでは歯として機能しません。そこで、歯として機能するように、人工の歯をかぶせます。まずは土台をつくり、そこにクラウンといういわゆるかぶせものを乗せます。

根管治療の流れ

では、根管治療は具体的にはどのように進んでいくのでしょうか。もっと詳しく、根管治療の流れをみていきましょう。

治療開始前:口の中の検査・精密検査
通常、歯科医院で根管治療を受ける際には、まず口の中の検査や精密検査を行います。歯の状態を目視で確認した後、レントゲン撮影やCT撮影などの画像診断で、どのような状態なのかを正確に把握します。その後、カウンセリングなどを経て、治療方針を固めます。

1.抜髄(ばつずい)
治療方針に基づき、根管治療を行うことが決まったら、いよいよ治療を開始します。まずは歯髄を除去する「抜髄」を行います。麻酔をし、専用器具で虫歯などの歯の表面部分を除去した後、歯髄を除去していきます。

2.根管の中を清掃・消毒する
歯髄を除去した後は、根管の中の汚れなどを完全に取り除き、空洞になった根管の長さを機械で測定します。測定することで、確実に根管の奥の治療や消毒、充填を行うことができます。清掃・測定が終われば、薬で洗浄して消毒します。

3.根管の中に薬を充填する
炎症が強い場合、根管の中に薬剤を入れて、仮のふたをして密閉し、数日置きます。根管の中がきれいになるまで、この薬での洗浄と薬剤を入れる作業を繰り返します。

4.詰め物をする
完全に根管内がきれいになったら、ゴムのような詰め物を緊密に詰め込みます。

5.土台を立てる
詰め物をした根管の上に土台を作ります。土台は、金属製やプラスチック製などがあり、いずれかを選び、歯に立てます。土台には、歯の補強や根管内に細菌が侵入しないように封鎖する役割があります。

6.クラウン(かぶせもの)をかぶせる
土台をつくったら、「クラウン」「かぶせもの」と呼ばれる人工の歯をかぶせます。通常、噛み合わせなどを調整して作るので、型を取ってそれを人工の歯にするために時間が必要になります。歯科医院によっては「仮歯」が使われることがあります。

一般的に、根管治療はこのような流れで行われます。
神谷町デンタルクリニックでは、セラミックの歯の場合、CADで1日で作ることができるため、土台の後の仮歯の期間がない場合もあります。

根管治療には痛みはどれくらいあるの?

根管治療を受ける場合には、もはや歯髄を抜かなければならないくらい、病状が悪化しているときと考えられます。このようなとき、その炎症による歯肉の腫れが原因で、痛みを感じます。よって根管治療を受ける前の痛みはあると考えられます。

では、根管治療中の痛みはどうなのでしょうか。

通常、麻酔をするので、治療における痛みはないはずです。多くの歯科医院では、根管治療中に痛みをできるだけ感じないような配慮をしています。もし痛みがあれば、ためらわず歯科医師に申し出ましょう。

根管治療後には、痛みが出る場合があります。

根管治療が成功したのにもかかわらず痛みが出るのは、薬剤や根の清掃をした時の刺激に対する反応性のものです。

ただし、この痛みは一過性のものですので、痛み止めを飲んで生活をしていれば、数日でおさまってきます。

もし根管治療後、しばらく経って歯周組織が再び細菌感染を起こした場合、やはり痛みがでてくることがあります。このような場合には、再度根管の中の感染源を除去して消毒する治療が必要になります。

根管治療の費用相場

根管治療を受ける際には、どれくらいの費用がかかるものなのでしょうか。

根管治療は、保険適用される治療と、保険が適用されない自由診療の治療とがあります。どちらの治療を行っているのかは、歯科医院によって異なります。

根管治療の保険内治療の費用相場

根管治療でかかる費用は、治療する根管の数によって異なってきます。一般的に、保険適用される治療の場合、3割負担で、1,500~3,000円前後となります。1根管で1,500円前後、2根管で2,300円前後、3根管で2,800円前後というのが相場です。

しかしながら、費用は治療法や使用する機器によっても変わってきますので、歯科医院によって費用が異なると考えましょう。

根管治療の自由診療の費用相場

根管治療の中でも、特殊な材料を使用する、マイクロスコープという精密機器を使用する、効果の確実な薬剤を使用するなどのより精度の高い治療を受ける場合、自費診療になることがあります。自費負担で根管治療を行う場合には、10~100万円と幅があり、高額です。

このような精密な根管治療は、治療後も、再度感染するリスクが抑えられることから、長期的にみれば生涯コストが安くなるのではないでしょうか。

根管治療を受ける歯科医院選びについて

根管治療で重視されるのは、やはり細菌感染を起こさないことにあります。しかし、治療によっては、根管治療後、何らかの原因で再感染を起こすこともあります。根管治療を受ける歯科医院を選ぶには、このような再感染を起こさない精密根管治療を行う歯科医院を選ぶことが重要です。

根管治療を成功させるために欠かせないといわれる治療法には、マイクロスコープやラバーダム防湿などがあります。これらの道具を用いて、徹底的に根管をきれいに掃除し、二度と細菌感染を起こさないような治療を行ってくれるところを選びましょう。

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