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睡眠歯科とは?睡眠の質を上げるための歯科の治療アプローチ

公開日:2025.09.15
更新日:2025.09.15

近年、睡眠に関する問題が社会的に注目を集めています。とくに「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は、睡眠中に呼吸が何度も止まったり浅くなったりすることで、心身に大きな負担をかける病気です。代表的な症状としては、睡眠中の大きないびきや呼吸が止まる、日中の強い眠気、起床時の頭痛や疲労感などが挙げられます。放置すれば、高血圧や心疾患、糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、交通事故や仕事のパフォーマンス低下にもつながるため、早期の対応が欠かせません。

多くの方は、こうした病気は耳鼻咽喉科や内科で治療するものだと考えています。しかし実は、歯科からもアプローチできることをご存じでしょうか。歯科的な治療によって気道を確保し、睡眠の質を改善する取り組みが「睡眠歯科」です。

また、睡眠時無呼吸症候群だけでなく、食いしばりや歯ぎしりも睡眠時における中途覚醒を誘発します。

睡眠歯科とは何か

睡眠歯科とは、歯や顎の状態を整えることで睡眠中の呼吸における空気の通り道を確保し、睡眠の質を高めるための医療分野です。たとえば下顎を少し前に出すように調整したマウスピース(スリープスプリント)を装着すると、舌が後方に落ち込みにくくなり、気道が広がって呼吸がスムーズになります。

また、歯並びや顎の位置が原因で気道が狭まっている場合には、矯正治療によって根本的に改善できることもあります。また、強い歯ぎしりや食いしばりによって顎周囲の筋肉が緊張し、中途覚醒を起こす原因となっている場合は、マウスピースの作製に加えてボトックス治療で筋肉の働きを緩める方法も有効です。

このように、睡眠歯科では「歯科ならではの視点」から睡眠障害にアプローチすることが可能です。

睡眠と歯並び・顎の関係

「歯並びや噛み合わせは見た目だけの問題」と思われがちですが、実際には呼吸経路の確保にも直結しています。

たとえば出っ歯や開咬(前歯がかみ合わない状態)、歯列の乱れによって舌のスペースが狭くなると、睡眠中に気道が圧迫されやすくなります。また、強い歯ぎしりや食いしばりによって下顎の骨が内側に反応性の骨が発達し、結果的に舌が安定する場所を狭めてしまうことによって、舌が喉のほうに押し込まれ、気道が狭くなることもあります。

こうした小さな要因の積み重ねが、いびきや無呼吸を引き起こし、結果的に全身の健康リスクにつながるのです。

睡眠時無呼吸症候群がもたらすリスク

睡眠時無呼吸症候群は、単なる「いびき」や「眠気」の問題ではありません。睡眠中に呼吸が止まり酸素不足の状態が繰り返されると、自律神経が緊張し続け、血圧や心拍数が高いまま維持されます。その結果、心筋梗塞や脳梗塞など重大な循環器疾患のリスクが通常よりも数倍に高まることが研究で明らかになっています。

また、睡眠の質が低下することで日中の集中力が下がり、仕事や勉強の効率が落ちたり、居眠り運転や労働災害などにつながる危険も少なくありません。さらに糖尿病やうつ病、認知症などとも関連が指摘されており、放置できない全身疾患といえるでしょう。

「疲れがとれない」「日中に強い眠気を感じる」という症状は、単なる生活習慣の問題ではなく、体からのSOSかもしれません。

神谷町デンタルクリニックの取り組み

神谷町デンタルクリニックでは、以前から「睡眠と歯」の関係に注目し、2014年の開院当初より臨床に取り入れてきました。初診ではまず、お口の中の状況を確認させていただき、舌の位置に異常がないか、睡眠状況のヒアリングに加え、噛み合わせや舌の位置、顎の状態と気道の関係を丁寧に評価します。必要に応じて医科とも連携し、睡眠検査(PSG)の結果を踏まえて治療計画をご提案します。

治療は、マウスピースによるスリープスプリントをはじめ、歯列不正や顎位の異常がある場合には成人矯正を組み合わせるなど、患者さまの症状や生活に合わせたオーダーメイドです。手術やCPAP機器に頼らず改善できるケースも多く、海外出張の多い方や、短期間で確実に治療を終えたい方にも対応しています。

こんな方におすすめです

  • 睡眠中のいびきが気になる方
  • 日中に強い眠気や倦怠感が続く方
  • 歯ぎしりや顎の痛みに悩んでいる方
  • CPAPが合わず、他の治療法を探している方
  • 歯並びや顎の位置が気になる方
  • 将来の健康リスクを予防したい方
  • 寝つきはいいが、眠りが浅いと感じる方

まとめ・ご相談ください

睡眠は、心と体の健康を支える基盤です。十分な酸素が行き届かない夜が続けば、気づかないうちに大きなリスクを抱えることになります。

また、無呼吸はなくても、食いしばりや歯ぎしりにより良質な睡眠がとれないとストレス耐性が下がり、ストレスを感じやすくなることによっても、食いしばりや歯ぎしりの原因となるループが起きてしまいます。その結果、過度な力が歯にかかることによって、大切な歯が割れたり、歯周病が進行しやすくなったりします。

睡眠歯科は、歯科ならではの方法で睡眠の質を改善できる新しいアプローチです。「いびきが気になる」「眠気がとれない」と感じている方は、ぜひ一度、私たちにご相談ください。少しの行動が、これからの生活や健康を大きく変える第一歩になるはずです。

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